尺八の演奏について

尺八の構造と各部の名称

尺八は真竹(まだけ)の根に近い部分を7節使うのが一般的です。しかし近年は廉価な木製、プラスチック製の尺八もあります。標準管の長さは一尺八寸(約54cm)で、一尺八寸管、略して八寸管とも呼ばれます。

半音(一律)刻みで色々な長さの尺八がありますが、一尺八寸管以外によく使われるのは一尺六寸管です。

音の出し方

「音が出しにくい楽器」とよく言われますが、下記の点に注意していただければ必ず音が出せます。

ステップ① 唇の形

上下の歯を少し開き唇は自然な状態にします。イメージとして軽く微笑んだ、少しすました状態。

強く左右に引いたり、突き出したりしません。唇を閉じたまま静かに息を出します。息が唇を押し開けて出てきます。薄い空気の板が押し出されるようなイメージです。

ステップ② 尺八の当て方

最初に音を出す練習では、手孔(てあな)は押えず上管部を握って行います。

息が歌口の先端に当たり尺八の管内と外に分かれるように尺八を顎のくぼみに(歯茎の下)に当てます。そして前述の唇の 形で静かに、軽く息を出します。

安定して音が出るようになってから第五孔から順に孔を塞いでも音が出るように練習するのが一般的です。

唇の合わせ目に歌口のエッジを合わせる
管尻を下げる

※注意点※

「唇の形」ができていても、尺八を当てると、唇の形が崩れて突き出すようになりがちです。また尺八をくわえ込んで、無理に息を管内に入れようとする例がしばしば見受けられます。この場合、外に出る息の方向に手を当てると外に息が出ているか確認できます。

尺八を当てる位置がつかみにくい場合は、写真のように閉じた唇の合わせ目に歌口のエッジを合わせ、次の写真のように管尻を下に下げます。息の方向がつかめない場合は、正面を向き手のひらを広げ、唇と指の付け根が水平になるようにします。手のひらを7~10cm位離し、息を手のひらの中心あたりに吹きかけます。

初心者は強い息をかけがちです。師匠の手のひらに息をかけて、強さを確認してもらうのもよいでしょう。

ステップ③ 呼吸法

まず姿勢が大切です。猫背になったり、肩に余分な力を入れず、腰を伸ばします。口と鼻で息を吸いますが、口はあまり大きく開けません。呼気に移る直前に吸った息を腹で支える感覚が重要です。息の支え(腹圧)を保ちながら、ゆっくりと吐いていきます。

ステップ④ 持ち方と姿勢

尺八の持ち方は右手が下になるのが一般的です。右手の中指を第一孔と第二孔の真ん中に置き、その裏側に親指を当てる。基本的にこの2本の指で尺八を支えます。

第一孔を右手薬指、第二孔を人差し指、第三孔を左手薬指、第四孔を人差し指、第五孔を親指で塞ぎます。孔を押えない左手中指は中継ぎの上に斜めに当て、両手小指は軽く浮かせます。

指は尺八に対して直角ではなく、少し斜めになるように当てます。手孔はリコーダー等と比べると大きいので、指先を握り締めないよう注意が必要です。第一関節の腹の部分でふさぐようにします。写真のように手孔の跡が指の腹の部分に残っているか確認します。

息を入れずに指の開閉をしてみます。正しくふさいでいると、かるくポンポンという音がします。

演奏の姿勢には座奏、椅子奏、立奏での演奏があります。三種の姿勢とも背筋を伸ばし、猫背になったり、反身になったりしないことが大切です。

座奏
椅子奏
立奏

また、尺八を身体に対して45度位の角度に構え、ひじは身体から握りこぶし1つ位あけます。ひじは張りすぎず、また胴に密着させることなく、ごく自然に下げて無理な力を入れないようにします。

下の写真は、ひじを張りすぎ、猫背の悪い例です。

吹き方、持ち方、姿勢に関しては自分の姿を鏡に映しての練習が効果的です。

悪い例
ひじを張りすぎ
猫背